「言うは易し、行うは難し」ということは世の中に多数ありますが、中小企業が以下の行為をするというのも、そんな事項の一つです。
〇値上げをする
〇ターゲットを減らす
■値上に伴う恐怖値上をするって、行為・労力として難しいものでは全くないんです。
けれど・・・
売れるために、
1円でも安くしなければならないと思い込んでいる。
売れるために、
いろんな人に好かれる製品にしなければと思い込んでいる。
そんな時に、値上げをする、ターゲットを減らす、精神的にはとてもハードルの高い、経営者にとっても怖いことなのです。

実際、値上げした直後、ターゲットを絞った直後というのは、売上が減少する場合もありえます。
今まであった売上が減っていく。
経営者にとって、これほど恐ろしいことはありませんよね。
会社員の方にはあまり実感していただけないのですが・・・
例えば、日給を1.5倍にしてくれ!と会社に要望をだしたら、その要望は通る。
ただし、週に2日しか出勤しなくていいよと言われ、結果、年収が半分になる・・・
それだけじゃなく、もしかしたら、雇用を切られるかもしれない。
こんな風に考えたら、恐ろしいことだと思いませんか?
企業にとって値上げをするとは、それくらい勇気のいることなのです。
■値上しましょうしか言ってない(笑)さてさて、顧問先ではないのですが、年に数回程度の単発のご相談を重ねて、もう10年以上になるお付き合いをさせていただいているA社さん。
そのA社長は、経営感覚がある上にとてもアイデアが豊富な方で、いつも様々な新規事業を発案し、実行してらっしゃいます。
なんですが・・・
最近・・・・
わたし・・・
「値上しましょう!」ってアドバイスしかしたことがない気がするんです(笑)
いえ、色々お話ししてるんですよ。笑
成功事例調べたり、競合の価格お話ししたりとか、あとプロモーションのお話しとか。
毎回、数時間ミーティングをさせていただいています。
ただ、今日のミーティング内容にタイトルをつけましょう!と言われると。
ここ数年、ミーティングタイトルは全て、
「値上しましょう!」
になる気がします!笑

まぁ、稲盛和夫さんの言葉でも、「値決めは経営」ですので、それだけご商売の肝ではあるんですが。
■なぜ、私にコンサルを依頼するのかそんな中で、なぜ私にコンサルを依頼し続けていただけるかと言えば、もちろん細かい戦術のアドバイスを求めているというのはあると思うのですが、まず
値上する勇気を得たいため、値上が正しいことの確証を得たい、ということがあるのだと思います。
一番最初に、私の「値上しましょう!」が発動した時には、A社長の
想定価格の5倍以上の値段設定を私が提示したんです!
その代わり、品質やサービスは、その価格でもお客様が納得いただけるように、今までよりは格段にレベルを上げました。
参考にした価格は、同業他社の価格ではなく、目的を同じとするほかサービスの価格。
よく言われるように、「ビデオレンタル」「映画館」「遊園地」は余暇を過ごすという意味で、大きな意味では競合ですよと。

であれば、サービス品質を高めれば、それらに費やす価格まではお金を出すことが考えられるのです。
■まとめ:値上する勇気記載した通り、A社長はとても経営感覚に優れ、決断力のある方なんです。
そんな方でさえ、値上をするということには、まず誰かに相談しようと思う。
その相談相手が私ということは、もちろんお金を払ってでも、誰かに相談したい。
と思っているということ、ですよね。
それくらいに、値上をしたり、ターゲットを絞るというのは勇気のいることなんです。
アドラーの嫌われる理由ではないですが、値上する勇気。
そして、ターゲットを絞る勇気。

簡単なことではないと分かっているので、やりましょう!とは言えませんが。
経営者の方。
まずは、頭の隅に入れて検討材料にすること、考えてみてはいかがでしょうか?
※すみません、「嫌われる勇気」は読んでません。。。
■余談:違う目線からの値段設定価格設定で、「同じ商品」としての競合の価格ではなく、「使用シーン」としての競合の価格を参考に値段設定をしているなと感じた事例がありましたので、ちょっと紹介させていただきます。
【
nonpi foodbox - オンライン飲み会専用 Food Box】

こちら、会社の歓送迎会等を想定したリモート用飲み会のために、それぞれの社員さんのご自宅に商品を配達してくれるというもの。
幹事さんは、プランと人数などの基本情報を決定すれば、お届け先の住所や希望のドリンクなどは、各個人が自分で入力するというシステムになっているようです。
価格は3,500円〜(税抜・送料込)
4,500円のものがおすすめとして、一番上に掲載されていました。

【
nonpi foodbox - オンライン飲み会専用 Food Box】
こちら、もしお取り寄せの商品として価格設定するなら、1,500円〜2,500円程度を適正価格と考えると思うんですよね。
けれど、価格設定の比較対象(≒競合)を、
〇お弁当・惣菜 という
商品ではなく、
〇飲み会 というイベントにした。
でしたので、このような強気の価格設定での商品構成が実現できたのでしょう。
お弁当・お惣菜に一人4,500円って、ちょっと高く感じるけど、
飲み会の代替案として4,500円だと、予算として適切かなと思いませんか?
このように、値段設定の競合をシーンで考える。
競合商品から導かれた適正価格(お弁当・お惣菜の適正価格。例:1,500円〜2,500円)を基準として、商品企画を行っていたら、もうちょっと貧乏くさい(笑)商品構成になっていたと思うんです。
けれど、飲み会を基準をした適正価格(例:4,500円)を基準とし、
価格設定が上がることで、商品やサービスの原価や品質も上げることができ、結果としても満足度も上がる。
価格設定に成功した事例だと思います。
余談でした!