日本のお金持ち企業No.1は任天堂。

※リスクモンスター様 プレスリリース
1位 任天堂 9,926億円
2位 信越化学工業 8,029億円
3位 SMC 5,761億円
4位 キーエンス 4,878億円
5位 セコム 4,136億円
「さすがー」「羨ましい!!」と思うとともに、あれっ!? トヨタとかソニーとか、時価総額がもっと大きい企業は入ってないの?と思いませんか?

これ、金持ち企業ランキングという言葉が、ちょっと適切ではなくて・・・
こちら、お金持ちの企業じゃなくて、「現金持ち」企業ランキングなんですよね。
上記の数字はNetCash
「現預金−(短期借入金+長期借入金+社債+1年以内返済の長期借入金+1年以内償還の社債+割引手形)」
つまり、現預金から借入金や払わなきゃいけないお金を引いたものなんです。
なので、土地建物といった資産はもちろん、有価証券も入っていない。
個人で例えるなら、株式投資をしていたり、土地やビルを保有していても、キャッシュを持っていない人はランキングには入ってこないんです。
「お金持ち企業ランキング」というネーミングだと、上位にあるほうがいいランキングのように見えます。
ただこれが、「現金持ちランキング」だとすると、イメージは変わってきます。
もちろん、お金はないよりはあるほうがいい。
ただ、現預金を持っているということは、運用ができていないということなのです。
株式投資をしているかたのほうが詳しいと思いますが、ROEという指標があります。
ROE:Return on Equity(自己資本利益率)
自己資本(集めたお金)に対して、どれくらいの利益を出しているか、になります。
私もそこまで詳しくはないのですが、8〜10%以上というのが優良企業の目安のようです。
一方、銀行の金利はネット銀行にはなりますが、こんな感じ。
(100万円1年物定期預金)

0.002%から高くても0.2%には届きませんよね。
つまり、企業活動として営業していたら100万円は一年間に10万円を生み出していたのに、
現金で保有していたために、数百円しか現金を増やせなかったということです。
そもそも、株式とは、1602年に設立された東インド会社がお金を集めるために投資家出資を募り、その際に発行された証券が起源とされています。
つまり、儲けるためにお金を集め、それを投資・運用(船を作って航海に行き、未知の国々と貿易をする)ことで、利益を出して株主に還元するということです。

自分の資本だけでやっていたら、いつ航海に出られるかわかりません。
そうすれば、新大陸との貿易というビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
株であれ借入であれ、他人からお金を集めることの本質的な意味は、レバレッジを利かせて、チャンスを逃がさないことにあります。
集めたお金は、企業活動を通して運用し、利益を出してこそ意味があるのです。
今年のランキングに限らず、元々任天堂は完全無借金経営でも有名です。
つまり、安全性はもう長いこと国内トップクラス。
ただ、投資をして(財務的な意味で)挑戦する姿勢は低いと言えるでしょう。
もちろん任天堂は業績も素晴らしい企業ですし、そういったポリシーのもと経営されているのでしょう。
またほかの企業についても景気や事業の波によって、投資のタイミングを計っていることとは思います。
ただ、単純に「お金持ち企業=いいこと!」ではないこと、注意が必要ですね。