さてさて、私が、「尖り」という発想に至ったのはきっかけがありまして。
7〜8年前、ある旅館から、パンフレットの見直しにご依頼を受けたんです。
ですので、ライバル旅館や有名旅館などのパンフレットを、手に入れられるだけ手に入れてみました。
そうした上で・・・
それぞれパンフレット、旅館名を付箋で隠して並べますと・・・
どれがどの旅館か、全く見分けがつかなかった!!
の・で・す!!!
旅館業界に詳しくない私はもちろん、私にご依頼をくれた女将や若旦那も、知っている旅館についてでも、なかなか当てられなかったんです!

といいますのも・・・
・温泉が良い
・風光明媚、景色が良い
・サービスが良い
・食事が美味しい
・部屋がきれい
配分・ブレンドの違いこそあれ、どの旅館も、すべてこんな風に同じことが書いてあったからなんです〜!!!
つまりつまり、強みを積み重ねていた結果、どの旅館も無個性になってしまっていたんですよね。
パンフレットを作るとなったら、もう気合を入れて写真素材になるお料理作りますよね。
で、フォトグラファーさんに来てもらって、素晴らしい写真撮りますよね。
温泉風景も、モデルさん頼んだり、フォトグラファーさん頼んだり。
そして、パンフレット作るだけじゃなく、日ごろから、どうすればサービス向上できるか一生懸命考えますよね。
お部屋を綺麗に改装したりしますよね。
そういった努力は、とても素晴らしいんです。
ただ、パンフレットを作る時に、他社を差別化できているか・・・この観点で見ると・・・
残念ながら、ほとんどの旅館が、目を引くパンフレットを作れていなかったんです・・・
これ、パンフレットだけではなく、ホームページも含めた、全ての営業ツールについて、同じことが言えるかと思います。
で、印象的なパンフレットを作るために、何か参考事例はないかと調べたいた時にいきついたのが(多分テレビか何かで)、こちらの旅館です。
【伊豆・伊東 金目鯛の宿こころね 様(公式サイト)】

※私の関与先ではありません
コチラの旅館、とにかく金目鯛押しなんです!
ページ配分を見ても、金目鯛、金目鯛、金目鯛。
金目鯛のオンパレードです。

公式ページだけではなく楽天のページ(↑)でも。
そしてこちらの宿、激戦区の伊豆地域で、なんと楽天トラベルアワード11年連続受賞してるんですね!
パンフレットもそうですが、ネットで旅館を探す時って、なかなか決め手が見つからなくないですか??
そう、先ほど記載した通り、どの旅館も同じようなものなわけです。
・A旅館 温泉・食事・サービス・景色・建物 全部GOOD
・B旅館 温泉・食事・サービス・景色・建物 全部GOOD
・C旅館 温泉・食事・サービス・景色・建物 全部GOOD
・D旅館 き・ん・め・だ・い!
・E旅館 温泉・食事・サービス・景色・建物 全部GOOD
となっていたら・・・
D旅館に目が行きませんか??笑
口コミを見ても、こころね様が素晴らしい宿なのは間違いないです。
インパクトだけの企業さんではありません。
ただ、金目鯛での尖り、素晴らしい旅館に行きつく、大きなきっかけになりますよね。
そしてそして、これからが尖りのポイントでもあるんですが、
私、この旅館、プライベートでは絶対行かないんです!!笑
というのも、私、そんなに「食」に興味がなくて。。。
売りが「食」だという旅館は、予約候補からは外れるかなと。
さらに、肉と魚でいうと、完全に肉派!
しかも、肉>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>魚
な、肉派過激派と言えるでしょう!笑

ですので、私はこちらの旅館に泊まることはない。
そう、あまり好まない人もいるのです。
ただ、その分、好きな人はとーっても大好き。
他の旅館なんて目じゃないぜ!という風に、この旅館を支持する層がいるのも、とても納得がいきますよね!
つまり、尖らせば尖らせるほど、ターゲットの母集団は減少する。
その代わり、訴求力は格段に上がるというのが、尖り型マーケティングなのです。
価格をあげることが企業にとって非常に難しい行為であると同様に、ターゲット層を絞って減らしていくこともまた、企業にとって非常に難しい決断を要します。
しかし、尖らせずに強みを積み上げ、万人に受ける企業を目指していくことは、それこそが実は茨の道なのです。
尖りという概念を交えて、マーケティングについて見直してみてはいかがでしょうか?
あっ、前にも「お店が助かる2つのこと」の投稿記事で記載しましたが、こころね様に行ってみたいかたは、できましたら公式サイトのほうからご予約を(笑)
【こころね様 公式サイト】

次の尖り型マーケティングについての説明は、
「強みによる情報氾濫」
(ピザ屋さんの事例)