作者の玉樹真一郎さんは、任天堂Wiiを創り出したかたです!
Wii誕生秘話、そしてWiiを企画した発想を、商品企画全般に落とし込む手法が記載してあります。

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コンセプトのつくりかた 「つくる」を考える方法
この本で肝になっているのが、題名にも表現されている通り商品の「コンセプト」。
私、実は、尖り型マーケティングと名称を付ける前、自分のマーケティング手法を「コンセプト・マーケティング」と呼んでいたんです。
「尖り」という言葉はすでに使用していたんですが、数年前の雑誌連載も、コンセプト・マーケティングの名称を使用しておりました。

ただ、講演等で「尖り」という言葉を使用しつつ、「コンセプト・マーケティング」をお話ししたところ、皆様、感想でほとんど「尖り」という単語しか出てこなかったんですよね。
ですので、そのまま「尖り型マーケティング」と呼んでしまおう!
と、商標も取得いたしました。
そんなこんなで、(勝手に)ご縁を感じて書籍を手に取ったのですが、読み進めていく中で、内容としても「尖り型マーケティング」と共通の部分が多くてビックリいたしました!
本著の中で、
・既知の良さ
・未知の良さ
という言葉が使われておりまして、
〇既知の良さ
ユーザーも作り手も、その良さや良い理由が分かる
実現するには無限のリソースが必要
〇未知の良さ
ユーザーはその良さがうまく表現できず、
他メーカーも追従できない
実現するにはリソース以外の何かが必要

これって、私の言う「強み」と「尖り」じゃーん!!と。
私の言う
〇強み
・「早い」「安い」「うまい」など誰が見ても上下が決まっている
・原価の高騰、利益の圧迫など、企業に負担が生じる
〇尖り
・企業の個性であり、画一的な価値観では測れない
・好みが分かれるため、ターゲットは減り訴求力は上がる
〇既知の良さ ≒ 強み
〇未知の良さ ≒ 尖り
Wiiの事例では、ゲーム機を企画する時、既知の良さ(皆が認める性能等)を追求すると、スペックの高さが求められるため、資金をかけ続けるしかなくなる。
では、別の観点からの発想ができないか!?
「暗い趣味」「ゲームばっかりやっていて勉強もしない」「一人の世界にこもって友達もいない」などとネガティブなイメージの多い【ゲーム】というイメージをくつがえす、真逆のコンセプトで商品を企画しようというものでした。
そして、できあがったコンセプトが、
お母さんに嫌われないゲーム機 Wii

【画像:任天堂 HP Wiiより】
こう説明していただくと、Wiiがコンセプト側からの発想でできあがった商品なんだということが、とても納得できました!
一つ、尖りの発想と大きく違っており、また面白いと思ったのは、
「未知の良さ」は浸透させてしまうと、「既知の良さ」になってしまうということ。
一旦、前例ができてしまうと、それが「良いもの」と認識されてしまうため、新しい未知の良さを常に開拓し続けなければいけないということでした。
こちらの書籍はコンセプトをつくるためのブレスト的な手法や、付箋を利用したKJ法的な手法の方法・ポイントまで、詳細に述べられており、とても参考になるかと思います。
ただし、手法の説明としては素晴らしく今後の参考にもなりましたが、著者 玉木真一郎さん&企画チームの発想が素晴らしすぎて、「コンセプト→Wii」になるための大きな発想のジャンプ(飛躍)、は凡人には理解できなかったです(笑)
ここで言うのも失礼なほど当然なのですが、さすがの発想力ですよね!