2021年03月21日

商品も市場も需給関係

■復習:商品と需給関係
以前、モニター結果2割の商品と8割の商品、どちらを製品化しますか?という過去ブログを記載いたしました。


商品が売れる売れないって、人気ではなく需給関係。

例えば、ある商品の色違いで、人気順に並べると
 1位 黒:60%の人が支持
 2位 白:30%の人が支持
 3位 赤:10%の人が支持


じゃあ、売るには黒を作ればいいかと言うと違います。
需要(お客さんの数)と供給(競合相手の数)で需要のほうが多くなっているものを選ぶ必要があるのです。

上記のような状態でも、競合の製品数が、
 黒 75%
 白 30%
 赤 5%
だった場合。
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黒は、需要より供給のほうが15%多いので、商品が売れずに余ります
白は、需要と供給が同数なので、適切に売れば余りはしません。

一方、
赤は、供給より需要のほうが5%多いので、大人気の品切れ状態です。
元の数字が小さいので、需要(10%)は供給(5%)の2倍あるということになります。



■市場と需給関係
これ、市場にも同じことが言えます。

人気の商品が売れるのとは限らないと同様、小さな市場より大きな市場が売れるとも限りませんし、
さらに、衰退市場より成長市場が売れるとも限りません!


▼成長市場の危険性
成長市場でも競合が多ければ、売れません。
また、成長市場の恐ろしいところは、これからどんどん競合が参入してくること!

そして、大手ほど人数の大勢いるマスな市場を狙いますので、誰もが知っている大企業が、新たなライバルになるという恐ろしい事態も起こりえます。


ですので、瞬間最大風速として、この1年売上を上げる!という趣旨でしたら、進出は成功するでしょうが、
需要は成長するにしても、競合の成長度・拡大度が見えない状況では、3〜5年後の需給バランスはどうなるんだろうなぁと不安な市場でもあると思います。


例えば、ペット関連の市場は、拡大を続けていますが、

セブンイレブンのセブンプレミアム シリーズでもドッグフードが発売され、
セブンイレブン.png
(画像:オムニ7 HPより)


2017年にはイオンも高級ドッグフード市場へ参入を決めたそうです。
イオン、高級ドッグフード市場参入 愛犬へ出費惜しまぬ飼い主



▼下げ止まりの衰退市場例
逆に、衰退市場でも、競合が少なければ商品は売れます。
衰退市場と一口に言っても、今、5年後にはさらに半減しているだろう衰退真っただ中市場もあれば、
最盛期の10分の1になっていても、一定の需要があるところで下げ止まっている衰退市場もあります。

例えば、
ワープロの修理業者、レコードの周辺機器、フィルムカメラ周辺市場など、市場は著しく小さくなりましたが、愛好家やマニアが存在する場合。
市場も小さくなったけど、競合も撤退した後であれば、残ったファンを相手にして、安定的な業績をあげている企業もあります。
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▼新たな活路を見出した衰退市場
また、衰退市場でも、新たな手法で活路を見出すケースもあります。
印刷業界は、紙文化からネット文化への移行で、ビジネスでの市場全体は少なくなりました。
雑誌なども休刊に追い込まれておりますし。

けれど、
格安ネット印刷の企業は、急成長している企業が多くあります。
こちらは、今まで町の印刷店や大手印刷会社に出していた印刷を、格安印刷に切り替えたビジネス・ユーザーが多くいることが要因の一つ。
そして、もう一つ、格段に安くなったため、チラシやパンフレットなど、個人や小規模企業で、今まで印刷物を発注できなかったターゲットが気軽に印刷を始めたという要因もあるかと思います。



■まとめ
ですので、一番人気の商品をつくればいいのではないのと同様に、市場も
 〇成長市場=進出すべき
 〇衰退市場=避けるべき

というわけでは、決してありません。


ちなみに、私、ビジネスコンテストの審査委員や補助金の審査委員をすることがあるんですが、
その評価項目に、「成長市場であるかどうか」というのが入っている場合が、結構あるんですよね。
成長市場=好ましい、衰退市場=危険な市場 と認識しているわけではない私としては、ムムムムムって思ってます・・・
posted by 秋田舞美 at 06:00| Comment(0) |  3−1.◎秋田流マーケ思考
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